2022-01-01から1年間の記事一覧

地方選 無風王国の「変人」を追う

地方選 無風王国の「変人」を追う作者:常井 健一KADOKAWAAmazon コンビニ店員、国際派テレビマン、サーファー漁師、発明家は、“再選率84.2%”の壁になぜ挑んだのか?マグロと原発の町、「飛び地」の村、60年も無投票が続く島…選挙を旅する異色ノンフィクション…

多摩川 境界の風景

多摩川―境界の風景 (有隣新書)作者:三輪 修三有隣堂Amazon 東京と神奈川の境界を流れる多摩川は、また一方で、現世と来世の境を意味し、自然堤防の外側に広がる河原は、封建領主の権力に秩序づけられることのない特有な空間であった。本書は、流域にのこる民…

検証 内閣法制局の近現代史

検証 内閣法制局の近現代史 (光文社新書)作者:倉山 満光文社Amazon 内閣法制局は、とらえどころのない役所です。名前を知っている人の多くも実態はよくわかっていない。圧倒的多数の人は名前すら知らない。そんな内閣法制局が財務省や首相官邸を抑え込む謎の…

三千円の使いかた

三千円の使いかた (中公文庫)作者:原田ひ香中央公論新社Amazon 就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。そして一千万円を貯めた祖母…

相楽総三とその同志

相楽総三とその同志 (講談社学術文庫)作者:長谷川 伸講談社Amazon 歴史は多くの血と涙、怨みによって成り立っている。御一新と「年貢半減」の理想を信じて各地を転戦するも、薩長に「偽官軍」の汚名を着せられて下諏訪に散った相楽総三ひきいる赤報隊。彼ら…

アフターダーク

アフターダーク (講談社文庫)作者:村上春樹講談社Amazon 「エリは今、眠っているのよ」とマリは打ち明けるように言う。「とても深く」「みんなもう眠ってるよ、今の時間は」「そうじゃなくて」とマリは言う。「あの人は目を覚まそうとしないの」真夜中から空…

満鉄調査部

満鉄調査部 (講談社学術文庫)作者:小林 英夫講談社Amazon ソ連研究の中心地であり、満洲国建国に際して経済計画の策定に注力。日中戦争期には占領地の宣撫工作と調査活動とともに、日中戦争の行方を予測する総合調査までも担った。アジア太平洋戦争開戦後は…

箱根七湯 歴史とその文化

箱根七湯―歴史とその文化 (1979年) (有隣新書)Amazon40年以上の有隣新書。江戸時代、大名の奥様が箱根で湯治をしたときは、100人以上の御付きの人が付き従っていたのだとか。最初は一週間単位だった湯治が、江戸中期から徐々に観光化していくようすが面白い…

ゲリラ 国家崩壊への三日間

ゲリラ 国家崩壊への三日間作者:ローラン・オベルトーヌ東京創元社Amazon シャルリ・エブド事件やパリ同時多発テロ事件後のフランス。パリ郊外の低所得者層の住む団地で、若者たちに取り囲まれ威嚇された警官が恐怖のあまり発砲、青年が死亡するという事件に…

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫)作者:ブレイディみかこ新潮社Amazon 人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧……。まる…

フランス人は10着しか服を持たない

フランス人は10着しか服を持たない作者:ジェニファー・L・スコット大和書房Amazon 高級料理を食べて、たくさん買い物をして、あちこち旅行をしても、心からの満足を感じられないあなたへ。典型的なカリフォルニアガールだった著者は、フランスの貴族の家に…

本屋、はじめました 増補版

本屋、はじめました 増補版 (ちくま文庫)作者:良雄, 辻山筑摩書房Amazon 独自性のある新刊書店として注目され続けるTitle。物件探し、店舗デザイン、カフェのメニュー、イベント、ウェブ、そして「棚づくり」の実際。事業計画書から、開店後の結果まですべて…

シャーロック・ホームズの冒険

シャーロック・ホームズの冒険 (光文社文庫)作者:アーサー・コナン・ドイル光文社Amazon ホームズ物語は、月刊誌『ストランド』に短編が掲載されはじめてから爆発的な人気を得た。ホームズが唯一意識した女性アイリーン・アドラーの登場する「ボヘミアの醜聞…

民俗のふるさと

民俗のふるさと (河出文庫)作者:宮本常一河出書房新社Amazon 日本人の魂を形成した、村と町。それらの関係、成り立ちと変貌を、ていねいなフィールド調査から克明に描く。失われた故郷を求めて結実する、宮本民俗学の最高傑作。 半世紀前に書かれたもので、…

私の日本地図3 下北半島

下北半島 (私の日本地図 3)作者:宮本 常一未来社Amazon 『私の日本地図』第8回配本 第3巻「下北半島」。 原書は昭和42(1967)年刊。昭和15年12月、オシラサマ調査のため廻った最初の旅から、昭和41年8月の旅まで下北半島を訪れた9度の旅の記録。昭和38年、3…

私の日本地図1 天竜川に沿って

天竜川に沿って (宮本常一著作集別集)作者:宮本 常一未来社Amazon 原書は昭和42(1967)年刊。長野県の諏訪湖に水源を発し伊那谷を南下、多くの支流を合わせ静岡県浜松市の東で太平洋にそそぐ天竜川。昭和17年から39年のあいだにいく度かさまざまな機会に訪れ…

職業としての官僚

職業としての官僚 (岩波新書)作者:嶋田 博子岩波書店Amazon 旧態依然のイメージで語られ続ける霞が関官僚の職業実態を示し、職業としての官僚が国民や政治に対し担うべき役割、現状をあるべき官僚像に近づける方途を、政官関係の歴史的変遷、各国比較などを…

戦争とバスタオル

戦争とバスタオル作者:安田 浩一,金井 真紀亜紀書房Amazon ジャングルのせせらぎ露天風呂にお寺の寸胴風呂、沖縄最後の銭湯にチムジルバンや無人島の大浴場……。 至福の時間が流れる癒しのむこう側には、しかし、かつて日本が遺した戦争の爪痕と多くの人が苦…

まちの本屋: 知を編み、血を継ぎ、地を耕す

まちの本屋: 知を編み、血を継ぎ、地を耕す (ポプラ文庫)作者:幹人, 田口ポプラ社Amazon ネット書店の台頭、「書店空白地域」の急増──。 変化する出版市場で問われる「まちの本屋」の役割とは? 書店から数々のベストセラーを生み出してきた名物元書店員が語…

騎士団長殺し

騎士団長殺し(第1部~第2部)合本版(新潮文庫)作者:村上春樹新潮社Amazon 一枚の絵が、秘密の扉を開ける――妻と別離し、小田原の海を望む小暗い森の山荘に暮らす36歳の孤独な画家。緑濃い谷の向かいに住む謎めいた白髪の紳士が現れ、主人公に奇妙な出来…

視覚化する味覚: 食を彩る資本主義

視覚化する味覚: 食を彩る資本主義 (岩波新書 新赤版 1902)作者:久野 愛岩波書店Amazon 現代の色彩豊かな視覚環境の下ではほとんど意識されないが、私たちが認識する「自然な(あるべき)」色の多くは、経済・政治・社会の複雑な絡み合いの中で歴史的に構築さ…

つわものの賦

つわものの賦 (文春学藝ライブラリー)作者:永井 路子文藝春秋Amazon 2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代、鎌倉武士たちのリアルな姿を描き出した面白さ抜群の傑作歴史評伝。 「ここで私は、大小いくつかの作品で扱ってきた鎌倉時代に対する一つの決算書…

店長がバカすぎて

店長がバカすぎて (ハルキ文庫)作者:早見和真角川春樹事務所Amazon 谷原京子、二十八歳。吉祥寺の書店の契約社員。超多忙なのに薄給。お客様からのクレームは日常茶飯事。店長は山本猛という名前ばかり勇ましい「非」敏腕。人を苛立たせる天才だ。ああ、店長…

炎環

炎環作者:永井路子文藝春秋Amazon 京の権力を前に圧迫され続けてきた東国に、ひとつの灯がともった。源頼朝の挙兵に始まる歴史のうねりは、またたくうちに関東の野をおおいはじめた。鎌倉幕府の成立、武士と呼ばれる者たちの台頭――その裏には、彼らの死にも…

北条政子

北条政子 (文春文庫)作者:永井 路子文藝春秋Amazon 2022大河ドラマ主人公・北条義時の姉にして、源頼朝の妻。彼女はいつも動乱の渦中にいた。 伊豆の豪族・北条時政の娘に生まれ、流人源頼朝に遅い恋をした政子。やがて夫は平家への叛旗をあげる。 源平の合…

堤清二 罪と業 最後の「告白」

堤清二 罪と業最後の「告白」 (文春文庫)作者:児玉 博文藝春秋Amazon 第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞作。月刊「文藝春秋」の連載『堤清二の「肉声」』に大幅に加筆したもので、セゾングループの総帥だった堤清二氏が死の一年前、父・康次…

不屈の春雷 十河信二とその時代

不屈の春雷 十河信二とその時代 上作者:牧 久株式会社ウェッジAmazon ■東海道新幹線「生みの親」として知られる元国鉄総裁・十河(そごう)信二の波乱の前半生――。 東京帝大在学中に時の鉄道院総裁・後藤新平と出会い、鉄道院に入る。帝都復興院で関東大震災…

女のいない男たち

女のいない男たち (文春文庫)作者:村上春樹文藝春秋Amazon 舞台俳優・家福をさいなみ続ける亡き妻の記憶。彼女はなぜあの男と関係したのかを追う「ドライブ・マイ・カー」。妻に去られた男は会社を辞めバーを始めたが、ある時を境に店を怪しい気配が包み謎に…

ワーニャおじさん

ワーニャおじさん (岩波文庫 赤 622-2)作者:チェーホフ岩波書店Amazon 静かな田舎屋敷に,退職した教授夫妻がもどってきた.尊大で身勝手の教授と無為に日を送る美貌の妻は,人びとの暮らしに波紋を呼びおこす―苦悩と絶望にとらえられながらも,ひたすら生き…

親愛なる同志たちへ

1962年6月1日、フルシチョフ政権下のソ連で物価高騰と食糧不足が蔓延していた。第二次世界大戦の最前線で看護師を務め、共産党市政委員会のメンバーであるリューダは、国中が貧しい中でも贅沢品を手に入れるなど、党の特権を使いながらも父と18歳の娘スヴェ…