ワーニャおじさん

静かな田舎屋敷に,退職した教授夫妻がもどってきた.尊大で身勝手の教授と無為に日を送る美貌の妻は,人びとの暮らしに波紋を呼びおこす―苦悩と絶望にとらえられながらも,ひたすら生きて行くことを決意する主人公たちの姿は,時代の閉塞状況に悩む人々の心に強く訴えかけ,初演以来観客を魅了しつづけてきた.新訳.

5月1日のあ、安部礼司は、新人女性社員の運転する車で鎌倉まで仕事にいく話だった。途中で新人女性社員がチェーホフのワーニャ伯父さんのくだりを言い出し、大場部長もそれに普通に返していた。最初はなぜチェーホフが出てくるのか分からなかったが、アカデミー賞のドライブ・マイ・カーのパロディだと後から気づき、いまさらながら岩波の新訳を新百合ヶ丘有隣堂で買って読んだ。仕事でうまくいっていない時期に読むとかなりささる作品。ワーニャ伯父さんは47歳。あと10年しないうちに自分もその年になることに愕然とした。