一三世紀以降、現在の領域に南下し、スコータイ、アユッタヤーといった王朝を経て、一八世紀に現王制が成立したタイ。西欧列強の進出のなか、東南アジアで唯一独立を守り、第二次世界大戦では日本と同盟を組みながらも、「敗戦国」として扱われず、世渡りの上手さを見せてきた。本書は、ベトナム、ビルマなどの周辺諸国、英、仏、日本などの大国に翻弄されながらも生き残った、タイ民族二〇〇〇年の軌跡を描くものである。
タイの歴史の概略が分かる。ビルマとベトナムに挟まれて、ビルマに侵略されたり逆に領土を拡大したり。18世紀以降は、西からのイギリス、東からのフランスのちょうど中間に位置して、独立を維持した。それぞれのタイミングで世渡りがうまく、ちゃんと勝ち組のほうについているらしい。第一次大戦末期にドイツに宣戦布告してヨーロッパまで軍を送っていたとは知らなかった。日本の国連軍基地にもタイがいる。