関東大震災と鉄道 ――「今」へと続く記憶をたどる

1923年9月1日、関東大震災。10万人以上の死亡・行方不明者数を記録した日本史上最大規模の天災だが、人々の生活の動脈であった「鉄道」の被害に焦点が当てられる機会は存外少ない。カオスそのものの限界状況下、列車に載せた命を救うべく奮闘した鉄道員たち、互いを助け合った乗客たち──その機転と智恵から何を学ぶか? 残された声を丁寧に追う貴重な災害史。

根府川駅の惨事はよく知られているが、東京駅、上野駅をはじめとした各駅、列車の被害状況がそれぞれ書かれている。在京の新聞社が、大阪までなんとか記者を送り出そうとするのもすごい。馬入川の橋が落ちてしまい、しばらくは東海道線は徒歩で連絡していたとか。