燃えあがる緑の木(新潮文庫)

百年近く生きたお祖母ちゃん(オーバー)の死とともに、その魂を受け継ぎ、「救い主」とみなされた新しいギー兄さんは、森に残る伝承の世界を次々と蘇らせた。だが彼の癒しの業は村人達から偽物と糾弾される。女性へと「転換」した両性具有の私は彼を支え、その一部始終を書き綴っていく……。常に現代文学の最前線を拓く作者が、故郷四国の村を舞台に魂救済の根本問題を描き尽くした長編。

大江健三郎作品を久しぶりに読んだ。ギー兄さんが一度村人たちに糾弾された後に、教会を作り上げるものの再度分裂する。学生運動で敵対セクトを襲撃した過去があり、最後は敵対セクトに自分が襲撃されて死ぬ。何とも救いようがない印象。