沖縄ノート

沖縄ノート (岩波新書)沖縄ノート (岩波新書)
大江 健三郎

岩波書店 1970-09-21
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米軍の核兵器をふくむ前進基地として、朝鮮戦争からベトナム戦争にいたる持続した戦争の現場に、日本および日本人から放置されつづけてきた沖縄。そこで人びとが進めてきた苦渋にみちたたたかい。沖縄をくり返し訪れることによって、著者は、本土とは何か、日本人とは何かを見つめ、われわれにとっての戦後民主主義を根本的に問いなおす。

6年前に一度読んだが再読。渡嘉敷島の集団自決問題ばかりがクローズアップされるが、それをもって本書を批判する人は、全体を通読していないのだろう。全体を通じているのは復帰問題であり、渡嘉敷島については3カ所でふれているに過ぎず、分量もほとんどない。

本土の人間として沖縄に呵責を感じ、沖縄に行っては疎外感、無言の糾弾を感じ、かといって本土に安住もできないという著者の行ったり来たりする思いがこれでもかというほどに書かれている。それが嫌な人は嫌みに感じるかもしれないが。