沖縄現代史 - 米国統治、本土復帰から「オール沖縄」まで

沖縄現代史 - 米国統治、本土復帰から「オール沖縄」まで (中公新書)沖縄現代史 - 米国統治、本土復帰から「オール沖縄」まで (中公新書)
櫻澤 誠

中央公論新社 2015-10-22
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太平洋戦争中、地上戦で20万人強の犠牲者を出した沖縄。敗戦後、米国統治下に置かれ、1972年に本土復帰を果たすが、広大な基地は残された。復帰後の沖縄は保革が争いながら政治を担い、「基地依存経済」の脱却を図る。だが95年の米兵少女暴行事件を契機に、2010年代には普天間基地移転・歴史認識を巡り、保革を超えた「オール沖縄」による要求が国に行われる。本書は、政治・経済・文化と、多面的に戦後沖縄の軌跡を描く。

戦後70年の沖縄の歴史を8章に分けてまとめている。またその章の中でも、政治、経済、文化にそれぞれわけて著述されていて、事実を整理するのに役立つ。革新行政と保守行政の間を行ったり来たりしているように見えるが、そのように単純に二項対立に分けられる問題ではないことが分かる。現在の翁長県政も単純に基地全廃を叫んでいるわけではなく、日米安保体制を受け入れた上で、不合理な基地負担を軽減するように主張している。その一方で、知事選、衆院選オール沖縄関連候補が当選しているが、離島部ではオール沖縄候補の得票が少なく、すでに周辺から崩壊しているという指摘も興味深い。また、沖縄戦終結後、本土から18万人もの沖縄県が帰還し、沖縄戦未体験者が相当数いたというのも初めてきいた。