失われた時を求めて(4)――花咲く乙女たちのかげにII

それから二年後、私はノルマンディーの保養地バルベックに滞在した。上流社交界のゲルマント一族との交際、「花咲く乙女たち」の一人アルベルチーヌの抗いがたい魅惑、ユダヤ人家庭での夕食、画家エルスチールのアトリエで触れる芸術創造の営み。海辺のリゾート地、ひと夏の燦めきを描く、第二部第二篇「土地の名―土地」。(全14冊)

「私」がアルベルチーヌの気を引こうとしてほかの女の子とわざと仲良くするなど、ありそうだが痛々しい。もっとも、これを読む人自身にもそういうところがあるんだと思わせるのが狙いなのかもしれない。