外交敗戦―130億ドルは砂に消えた

それは、大蔵省、外務省の暗闘が招いた結果に他ならなかった――。湾岸戦争終結後、クウェート政府が発表した感謝国リストに〈JAPAN〉は存在しなかった。130億ドルもの国家予算を投じ多国籍軍を支援しながら、ニッポンを迎えたのは、世界の冷笑だった。戦略なき経済大国の「外交敗戦」を、『ウルトラ・ダラー』の著者が圧倒的な情報力で描ききる。『一九九一年 日本の敗北』改題。

15年以上前、学生時代に一度読んだことがある。外交文書公開で湾岸危機のことが最近取り上げられていたので改めて読んでみた。大蔵省と外務省がお互いに省益を争い、大蔵大臣とアメリ財務大臣の会合に駐米大使を入れない、外務省は外務省で必要な情報を他省庁に出さないなど、省あって国なしの行動がよくわかり悲しい。そんな中、イランの在外公館ではペルシャ語の専門家たちが地道に情報網を広げ、開戦直前にイラク機がイランへ避難していたことを突き止め、アメリカからも重要視される情報になる。