江島詣 弁財天信仰のかたち

江島は、風光明媚な景観や新鮮な魚介等で知られる日本屈指の観光地である。訪れる人々の多くにとって、緑の江島と相模湾越しの富士の佳景は格別なものがある。江戸時代まで江島は神仏習合の弁財天の島であり、島内の三社は互いに競い合いつつ開帳や祭礼を行っていた。江戸中期以降、行きやすい場所として、江戸庶民に「江島詣」が人気となった。江島の繁栄を支えた弁財天信仰の変遷を、その由緒を伝えた江島縁起や数々の歴史的史料、浮世絵などをもとに概観する。

鎌倉時代以降、江戸時代までの江島が中心。江戸時代に、現在の岩本楼があの手この手を尽くして島内の支配権を認めさせる様子が興味深かった。仁和寺の配下に自ら入り、仁和寺親王に島に立ち寄ってもらう際の接待の様子も面白い。有隣新書はこういう興味深いテーマを扱っていて読みごたえがある。