灼熱

沖縄生まれの勇と、ブラジルで生まれ育った日本移民二世のトキオ。一九三四年、日本から最も遠い地・ブラジルの日本人入植地「弥栄村」で出会った二人は、かけがえのない友となるが……。
第二次世界大戦後、異郷の地で日本移民を二分し、多数の死傷者を出した「勝ち負け抗争」。共に助け合ってきた人々を過激な抗争へと駆り立てた熱の正体とはなんだったのか。分断が加速しフェイクニュースが横行する現代にこそ問う、圧倒的巨篇。

ブラジル移民を題材にした小説。北杜夫の輝ける碧き空の下ででも、勝ち組負け組が書かれていたが、本書もそれが題材になっている。終戦後、情報不足で日本が勝ったと思い込み、徐々に負け組に攻撃するのが恐ろしい。徐々に真相が明らかになっていくので手が止まらなくなる。