土地は誰のものか 人口減少社会の所有と利用

「太平洋戦争の敗北より深刻」と司馬遼太郎が嘆いた地価高騰・バブルから一転、空き家・空き地の増大へ。生存と生活の基盤である土地はどうなるのか。近年続々と制改定された、土地基本法と相続など関連する個別法を解説するとともに、外国の土地政策も参照し、都市計画との関係や「現代総有」の考え方から解決策を探る。

土地法制についての概説書。日本は所有権が絶対的に強く、どう使おうが自由なため、空き家や不秩序な都市開発が目立つという。著者は東日本大震災後の復興構想会議で土地の共同利用を提案したが、法務省国交省に大反対されたとか。それから10年たたないうちに、所有者不明土地の法案が出てくることを感慨深いとしている。問題意識は伝わるが、ではどうすればよいのかというところは弱い。「現代総有」という概念を打ち出しているがよくわからない。