芝浦屠場千夜一夜

芝浦屠場に魅せられみずから現場で働き続けた女性ライター。
彼女が見た食肉解体現場の驚きの日常とそこで働く人々のそれぞれの物語。

ある場所に行かなければ見えないものがあります。ここでは見えないものが、どこか違う場所では見えるかもしれない。
見たい、見たい。世の中の動いている場所に行って、一番前で見たいのです。野次馬なのです。
それは「のぞき見である」「悪趣味だ」と非難されることなのでしょうか。
私は何かがわかりたかったのです。
われわれとは何者なのか。私は何者なのか。
この社会はどうやって存在しているのか———(本文より)

1991年から98年まで実際に芝浦で働いたライターが四半世紀後に書いたもの。実際に従事した実体験をもとに書いているのでリアルだし臨場感もある。また、解放同盟が行っている糾弾会、確認会の様子を文字に起こしているのも貴重だと思う。ただ、その様子を客観的に読めばただのつるし上げ、いちゃもん付けで、それを無批判に受け入れていることに違和感を感じてしまう。