在日米軍基地 米軍と国連軍、「2つの顔」の80年史 (中公新書)

世界で最も多くの米兵が駐留し、米軍施設を抱える日本。米軍のみならず、終戦後一貫して外国軍の「国連軍」も駐留する。なぜ、いつから基地大国になったのか。米軍の裏の顔である国連軍とは。本書は日米の史料をふまえ、占領期から朝鮮戦争、安保改定、沖縄返還、冷戦後、現代の普天間移設問題まで、基地と日米関係の軌跡を追う。「日本は基地を提供し、米国は防衛する」という通説を覆し、特異な実態を解明。戦後史を描き直す。

ここ数か月読んだ新書の中でナンバーワン。
在日米軍基地のうち主要な基地は、同時に国連軍基地にもなっている。朝鮮戦争の残滓としてしか意識していなかったが、それが実は重要だということがよくわかった。国連軍地位協定で、国内に国連軍がいなくなったときに協定が破棄されることになっているため、70年代にアメリカ、英連邦などが苦労して誰かしら米軍以外の軍人が日本に駐留しているようにしていたとか、その綱渡りの状態をつないでいたのがタイ軍だとか、知らないことばかり。そして、鳩山首相時代に最低でも県外発言があったが、国連軍地位協定に基づく国連軍基地を移転させる以上、国外という選択肢はありえず、それを知らなかった首相と知らせなかった官僚機構というのも示唆に富んでいる。