本音の沖縄問題

本音の沖縄問題 (講談社現代新書)本音の沖縄問題 (講談社現代新書)
仲村 清司

講談社 2012-05-18
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1952年4月28日、対日講和条約発効、沖縄が日本から切り離され、米軍統治下に置かれることが決定、それから20年後の1972年5月15日、沖縄、日本復帰。

そして同時期、本土が大幅に減り続けた一方で、「復帰」した沖縄では、米軍基地の固定化、集中化が進む。その「代償」としての多額の補助金。それから40年、基地とカネをリンクしたシステムが完全に破綻しつつある沖縄で、いま何が起きているのか。大阪生まれの沖縄人2世で沖縄に移住して15年を数える著者が、沖縄でもなかなか語られてこなかった沖縄人の本音を交え、「沖縄問題」の真実に迫る。

著者は大阪で生まれ育った沖縄2世。そういう立場だからこそ感じる、本土における沖縄人への差別や、沖縄での本土育ちに対する微妙な感情など良く書けていると思う。また、沖縄県内の、本島と八重山地方との確執や、本土で沖縄に理解を示している人に対する沖縄人からの罵詈雑言など、言いづらいこともタブー視せずに書いている。一方で、南西諸島の防衛問題については、中国が攻めてくるはずがないだとか、パトリオットの警備は警察がやるべきなど、現実的ではない記述も散見される。全体としては、居酒屋談義をそのまま文字にしたような印象。