静かなる戦争

世界最強国家を動かす権力者たちの素顔とはいかなるものか。全米で最もよく知られるピュリッツァー賞作家が、その実態を鮮やかに描きだした。強いアメリカを目指したレーガン湾岸戦争を戦ったブッシュ、新世代を代表するクリントン、そして現ジョージ・W・ブッシュへ。冷戦後のアメリカは世界最強の軍備を背景に、強大な権力を手にすることとなった。▼しかし、その道程は決して平坦なものではなかった。諸外国との軋轢が外交問題として大きく立ちはだかった。旧共産圏諸国で民族主義が台頭し、アメリカ大統領はその紛争の対応に右往左往する。▼さらに、アメリカ政府にしてからが、決して一枚岩ではなかった。政権、軍、議会の間には熾烈な闘いがあり、国際紛争への介入をめぐって激しく対立した。パウエル、オルブライト、そして大統領らを巻き込んだ水面下の戦争である。

クリントン政権下でのユーゴ紛争を中心に描いている。朝鮮戦争の本が面白かったのでこちらも読んだが、期待にたがわず良かった。ただ、セルビアを必要以上に悪者視している気はする。第1期の最初は内政にかかりきりで外交は置いてけぼりだったクリントン政権が、末期には外交ばかりというのも、面白い。