地上生活者 第1部~第4部

加賀乙彦の永遠の都、雲の都を読み終えて、文学者の戦前~戦後の自叙伝的な長編として共通している地上生活者を読み始めた。昔、群像を数か月買っていたことがあり、そのころ連載されていた。秋田にいたときも明徳館にあったので一度借りたが、いまいちぱっとせず途中で終わってしまっていた。
第1、2巻は、樺太で敗戦を迎え、北海道に引き揚げてからの中学高校時代が扱われている。第3巻では、主人公は早稲田大学と思われる大学に進学し、留学同の活動に徐々にのめりこんでいく。第4巻では、卒業後に総連系の新聞社に就職するも、徐々に合わなくなり組織を離れる様子が書かれている。昭和30年代の北朝鮮帰国事業の熱が伝わってくる。帰国した人たちの、悲惨なその後も時々交えられていて、何ともいえない気持ちになる。主人公の従兄も帰国したものの、収容所送りにされて亡くなっている。