誘拐の知らせ

誘拐の知らせ (ちくま文庫)誘拐の知らせ (ちくま文庫)
G・ガルシア=マルケス 旦 敬介

筑摩書房 2010-11-12
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南米コロンビアで起こったある誘拐事件。やがて、事件は政府・マスコミの要人を狙って麻薬密輸組織が起こした、十件もの誘拐事件の一端であったことが判明する。連続誘拐事件を繋ぐ一本の糸とは?その背後で繰り広げられる、麻薬密輸組織と政府当局の凄惨な争いの結末は?ノーベル賞作家の著者が、綿密な取材をもとに現代コロンビア社会の暗部をえぐったノンフィクション。

ガルシア=マルケスが書いたノンフィクション。コロンビアで起こった連続誘拐事件を題材として、その裏にある麻薬密輸組織と政府とのやりとりを描いている。人質の取扱いも日々刻々と変化し、ある人質は殺されるなど、緊迫感のある描写が続く。

現在もコロンビアでは誘拐事件が多発しているが、当時は事実上の内戦状態だったようだ。混乱しきっているなかで、人質を助けようと努力する家族たちの描写が印象的。ガルシア=マルケスがコロンビア人だったことを初めて知った。