チベット潜行十年 木村 肥佐生 中央公論新社 1982-01 売り上げランキング : 105106 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
西域調査のため満州からチベットへ入り、終戦を迎えながらもそのまま現地に留まった著者の記録。昭和18年に出発したときは弱冠21歳だったのだから驚いた。
チベットが併合される前の様子がよく伝わってくる。当時の東チベットで共産中国と隣接していた地域では、チベットの役人の腐敗がひどく、重税のため、中国の方へ逃げ出す住民が多かったとか。現代日本では、チベット=被害者であり善、中国=加害者であり悪という図式がまかり通っているが、物事は一面だけでは見れないということを読みながら感じた。