チベットに舞う日本刀 モンゴル騎兵の現代史

チベットに舞う日本刀 モンゴル騎兵の現代史チベットに舞う日本刀 モンゴル騎兵の現代史
楊 海英

文藝春秋 2014-11-13
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日本の陸軍士官学校で学んだ最強の騎兵軍団、その悲劇の興亡。「日本刀」と「騎兵」が織りなすチベットとモンゴルの悲劇の歴史を、南モンゴル生まれの著者が、重厚で複眼的な歴史観に基づいて、現地取材も行ない見事に再現!

墓標なき草原の著者の最新作。満州国の「興安軍官学校」は、モンゴル人がこぞって目指すあこがれの学校で、そこを出た将校たちは日本の陸士に留学したりして日本の近代的戦術を学び、五個騎兵師団を組織していた。その後、日本の敗戦時に日本人将校を殺害して抗日の実績としたが、そのまま共産軍に併合されて国共内戦に使われ、チベット併合時には遠路はるばるチベットまで赴いた。夷をもって夷を制すを実践するように、モンゴルとチベットの歴史的な近さが、そのまま中共に利用されたようだ。その後の文革時には、大多数が粛正された。

著者は内モンゴル出身で、中国人に対する反感がものすごい。漢民族中国共産党を全て一緒に見て、民族的なものも共産党独自のものもまとめて「中国人」として批難しているなど、感情的な記述が目立つ。