堤康次郎 西武グループと20世紀日本の開発事業

早稲田大学在学中に起業、卒業するや別荘地や住宅地を精力的に開発した堤康次郎。その軌跡は、公務員・会社員などの新中間層(サラリーマン)の誕生や都市人口の増大と重なる。軽井沢や箱根では別荘地や自動車道を、東京では目白文化村や大泉・国立などの学園都市を開発した。さらに私鉄の経営権を握り、百貨店や化学工業も含めた西武コンツェルンを一代で築くが、事業の本分はまぎれもなく「土地」にあった。厖大な資料から生涯を読み解く。

軽井沢、箱根だけではなく、様々な地域の開発に、それぞれの会社を作って取り組んだ様子がよくわかる。父と息子たちの人間関係がもう少し書いてあるのかと思ったが、基本的には各会社の紹介が多い。最後の章で、堤義明が後を継いだとよく言われるが、本質的に先代の仕事の仕方を継いでいたのは堤清二だと指摘していて興味深かった。