1Q84

1Q84年──私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。……ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。

10年以上前色麻町に住んでいた時、隣町の中新田図書館で借りて読んで以来。当時はいまいちつかめない本だと思ったが、今回改めて読んでみるとかなり面白く感じた。色麻町の後に住んだ高円寺の町並みが出てくるのも印象深い。タクシーで流れている音楽がヤナーチェックだなんて気づく人がこの世にどれだけいるだろうか。村上春樹の登場人物は、どれもそんな人いないだろうと思わせつつ、読み手がそうありたかった姿を表現しているように思う。また、オウム真理教事件村上春樹への影響の大きさを感じさせられる。