ナチスドイツでは脱走兵が数万人に及び、死刑判決が3万人と際立って多かったらしい。それも、前線からの逃亡ではなく、休暇中などの脱走が多かったのだとか。絶滅戦争への加担をしたくないという意思からだが、当時の軍司法はひたすら極刑で対処したようだ。戦後も、積極的な
ナチスへの抵抗者とは異なり、脱走兵を見る目は冷たく、ようやく
復権が叶ったのは半世紀以上経ってからだったというのは考えさせられる。ただ、ドイツ政府を動かしたのが、当事者の訴えと合わせて、学者の研究成果だったというのがドイツらしい。ドイツでは、人文科学の研究結果が政策決定に影響を及ぼしているということ、一方で、反政権の懸念から人文科学の研究者の推薦が恣意的に無視される国があること、なんともいえない気持ちになる。