北の街にて―ある歴史家の原点

北の街にて―ある歴史家の原点 (洋泉社MC新書)北の街にて―ある歴史家の原点 (洋泉社MC新書)
阿部 謹也

洋泉社 2006-08
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多くの読者を魅了し続ける著者の学問研究の原点には、小樽での研究と思索、留学先だったドイツ生活、そして西順蔵氏との出会いと別れがあった。12年にわたる北の街での生活から、代表作『ハーメルンの笛吹き男』が生まれ、「自分の内面に深く関わる課題が学問の出発点」と語る著者の研究姿勢も生み出された。その後、著者は、世間、個人、差別と賎視などのテーマを日本の諸問題として捉え、多くの著作を通じて世に問う。本書は、その原点を、著者自らが吐露した名著である。

阿部謹也の自伝的回想録。大学卒業後に小樽商科大学へ講師として就職し、ドイツ留学を挟んで最終的に東京に戻るまでの経緯が書かれている。小樽での学生運動の様子などなかなか興味深い。東京生まれの東京育ちである著者が北の街で感じる寂しさが巧みに書かれていて、センチメンタルな気持ちになる。

もっとも、阿部謹也の本自体まったく読んだことがないのだが、そのうち手に取ってみようと思う。