地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体

地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書)地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書)
山下 祐介

筑摩書房 2014-12-08
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「二〇四〇年までに全国の市町村の半数が消滅する」とぶちあげ、「すべての町は救えない」と煽って衝撃を与えた日本創成会議の「増田レポート」。だがその警鐘にこそ、地方を消滅へと導く罠が潜んでいる。「選択と集中」などという論理を振りかざす本当の狙いは何か。「棄民」への政策転換がなされたように見せかけているのはなぜか。限界集落問題が「つくられた」ことを示して話題となった社会学者が、増田レポートの虚妄を暴き、地方を守るために必要な論理と、再生に向けた道筋を示す。

限界集落の真実」の著書が、増田レポートに反論している。増田レポートは地方を救うといいつつ、そのためには地方都市に人口ダムをつくり歯止めをかけるという論理で周辺部の切り捨て論理を内包している。そこから導かれる「選択と集中」は必然的に淘汰につながるが、そうではなく、「多様性の共生」を目指していくべきではないかというもの。「限界集落」は自らが歩いた各地の集落の実態を書いていたが、こちらでは現地の話は岩手の一関のILCくらい。

印象論も多く、「おそらく・・・」「・・・のようだ」「・・・だろう」が多い。じゃあどうすればいいのかという答えがあまりないが、amazonのレビューがいうほど悪い本ではない。こういう視点をちゃんと持ち続けることが何より大切だと思う。