全線開通版 線路のない時刻表

全線開通版 線路のない時刻表 (講談社学術文庫)全線開通版 線路のない時刻表 (講談社学術文庫)
宮脇 俊三

講談社 2014-03-11
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開通が待ち望まれた鉄道新線。国鉄の末期、完成間近になって工事中止となった新線への思い断ちがたく、著者は計画上の路線をたどり、すでに敷かれた路盤に立って、車窓から眺められたはずの風景や現地で出会った関係者との交流を描いた。本書は、第三セクターによる開業までの経緯と開通後の乗車記を加えた完全開通版。付録として著者の年譜も収録。

国鉄末期、工事中止となった路線の沿線をたどったもの。ほくほく線について書かれているので読んだ。

著者が十日町、松代を訪れたのは昭和56年だそうだが、その頃はまだ国道253号が冬期閉鎖で、十日町から松代まで行くのにわざわざ柏崎=直江津経由で行っている。自分が物心つくほんの少し前には、まだそういう生活が残っていたのだと実感した。それが、冬でも交通が途絶しないようになり、十日町の生活圏に組み込まれたことで、そもそも郡も異なる町村同士での市町村合併につながっていったのだろう。

また、三陸鉄道についても記述されている。三セクの優等生だった頃の紀行なので、その後の経営不振、さらには震災を考えると、こちらも感慨深い。