米・百姓・天皇 日本史の虚像のゆくえ

米・百姓・天皇 日本史の虚像のゆくえ (ちくま学芸文庫)米・百姓・天皇 日本史の虚像のゆくえ (ちくま学芸文庫)
網野 善彦 石井 進

筑摩書房 2011-01-08
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日本とはどんな国なのか、なぜ米が日本の歴史を解く鍵なのか、通史を書く意味は何なのか。きわめて枢要でありながらも、これまであまり語られてこなかった興味深い問題の数々。先鋭的な現代日本史学の泰斗、網野善彦石井進が、古代律令制から明治時代に至るまでを、エキサイティングに、そして縦横無尽に語りつくす。対談形式のため、高度な内容であるにもかかわらず、読者にも理解しやすく、読み進むにつれ、この日本という国の真の姿が眼前に立ち現われてくる。今までイメージされてきた国家像や、定説とされていた歴史観に根本的な転回を迫る衝撃的な書。

網野さんの対談本。水田からの税収でまかなわれる国家というのはまれで、古代律令制国家が水田にこだわったことが、脈々と明治まで生きながらえているというのが面白かった。日本が気候、風土的には必ずしも水田に適した土地でないからこそ、逆に水田にこだわりをもったとか。

ただ、対談本なので、もっと深くしゃべればいいのにというところにはつっこまず、些末なことを延々と話したりと、微妙な点も多かった。網野さんが延々と「樹木栽培は農業じゃないんだ」と主張していて、それこそ3回も4回も同じことを書いているのが冗長に感じた。あと、題には天皇とあるが、前の二者に比べるとほとんど触れられていないような。