六ケ所村の記録―核燃料サイクル基地の素顔

六ケ所村の記録―核燃料サイクル基地の素顔 (講談社文庫)六ケ所村の記録―核燃料サイクル基地の素顔 (講談社文庫)
鎌田 慧

講談社 1997-05
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東北の一寒村の開拓地が、核廃棄物の終末処理場へ!原子力発電所は人間が制御できない危険物質を、日夜ためこんでいる。“死の灰”と添寝することになった青森県六ヶ所村の人々は、日常的な恐怖に脅かされている。強引につくられた核燃料サイクル基地の実態を解明した大レポート。毎日出版文化賞受賞。

5年ぶりに再読。当時感銘を受けた記憶があったが、再読してもまったく変わらなかった。

この本のテーマは、84年に急遽核燃料サイクル六ヶ所村に持ち込まれることが明らかになったが、実は69年から既定路線として決まっていたのではないかということだったようだ。前回読んだときは分からなかった。

反対派の住民を中心に、彼らが六ヶ所村に入植する前からの流れも丁寧に書かれているので、奥深さがすばらしい。特に、69年から73年まで村長を務め、73年の村長選で推進派に敗れながらも、その後も反対派の精神的支柱であった寺下さんについての記述がすばらしい。戦前、朝鮮の日本窒素の工場に勤めて植民地支配の現場を体験した経験が、村長でありながら開発に反対するという立場をとらせたようだ。

いま、もっとも復刊されるべき一冊だと思う。