勲章 知られざる素顔

勲章 知られざる素顔 (岩波新書)勲章 知られざる素顔 (岩波新書)
栗原 俊雄

岩波書店 2011-04-21
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毎年4月と11月、各約4000人への叙勲が発表され、メディアも大きく報じる。だが、そもそも勲章はいつ、何のために生まれ、どんな変遷をたどってきたのか。人選や等級はどんな基準と手順によるのか。人間の序列化、官尊民卑の助長など、批判はどう展開されてきたか。勲章の製造現場や売買の実情もまじえて、その表と裏を描く。

岩波というより、中公新書のような文体だった。

明治期からの勲章の歴史をわかりやすく追っている。終戦による一時停止、生前叙勲の復活、2003年の改革など。この2003年の改革というのはまったく知らなかった。今はもう、勲一等から勲八等の区切りではないそうで、旭日○○章の○○の文言で差異を設けているらしい。

また、勲章の歴史だけではなく、批判の内容、辞退の理由、さらには造幣局での製造現場、オークションへの出品状況なども書かれていて面白い。対象者以外が佩用すると軽犯罪法違反になるらしいが、それでもコレクターというのはいるらしい。

勲章辞退というと、どうしても文化勲章を辞退しながらレジオン・ドヌール勲章は受け取った大江健三郎ばかり想像してしまうが、細川元首相や宮沢元首相も辞退していたそうだ。