北極飛行

北極冬営隊員を極地へと運ぶ大任を果たした、ソヴェート連邦の飛行家が残した記録。大自然にたちむかう人間の力を描いて同時代に衝撃を与え、その文学的価値には高い評価が寄せられた。1939年7月刊。

旧赤版の復刊なので旧仮名遣いのまま。飛行士、機関士や科学者がみな協力して北極に挑む様子が書かれている。4発の重飛行機で北極まで飛んだようだが、アントノフのどの機体を使っていたのかとても気になる。訳者は米川正夫だが、巻末の解説で、スターリンへの阿諛が気になると書いている通り、ここでもかとスターリン、ソヴィエト体制への賛美が書かれている。大粛清の直後という時期を感じさせられる。末尾に、北極に着陸したことを祝うソヴィエト首脳陣からの祝電が書かれており、エジョフなどその後自分が粛清される人たちも署名している。