アホウドリを追った日本人――一攫千金の夢と南洋進出

アホウドリを追った日本人――一攫千金の夢と南洋進出 (岩波新書)アホウドリを追った日本人――一攫千金の夢と南洋進出 (岩波新書)
平岡 昭利

岩波書店 2015-03-21
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明治から大正にかけ、一攫千金を夢みて遙か南の島々へ渡る日本人がいた。狙う獲物はアホウドリ。その羽毛が欧州諸国に高値で売れるのだ。密猟をかさね、鳥を絶滅の危機に追い込みながら、巨万の富を築く海千山千の男たち。南洋進出を目論む海軍や資本家らの思惑も絡んで、帝国日本の拡大が始まる。知られざる日本近代史。

鳥島や小笠原でのアホウドリの乱獲は有名だが、遠くはミッドウェー諸島やハワイにまで明治大正年間の日本人は出ていき、鳥を乱獲していたとか。同時期のアメリカは、鳥糞の肥料使用のためにやはり太平洋へ膨張してきており、それと、アホウドリそのものを目的とする日本が交錯し、南鳥島事件なども起きている。もっともアホウドリの乱獲は持続性がないため、徐々にリンの採掘に転換していったようだ。

個々の島の様子などはもう少し深掘りがあるといいなと思ったが、概観が整理されていてわかりやすい好著。