静かなドン

世界文学全集〈第42〉ショーロホフ (1960年)静かなドン(1)世界文学全集〈第42〉ショーロホフ (1960年)静かなドン(1)

河出書房新社 1960
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今年の上半期に読んだもののなかで一番。図書館にあった、河出の世界文学全集の3分冊を読んだ。これほどまでの名作が新刊で買えない現状はいかがなものか。岩波文庫で全8巻だが品切れ中。復刊したらまとめ買いする。

第一次大戦からロシア革命、内戦までの過程を、ドン地方のコサックを中心に描いている。第一次大戦で対ドイツ戦線へ従軍するのはみな一緒だが、その後、赤軍、白軍にわかれるあたりから一人一人の立場が変わってきてどんどん引き込まれていく。同じ部落の友人同士が内戦で相まみえ、お互いに殺し合うのは恐ろしい。また、自然描写が素晴らしい。暑い夏の盛りから冬の吹雪まで目に浮かぶように書かれている。

社会主義政権下の作品だが、内戦の描写も赤軍を美化するわけでもなく、逆に白軍を美化するわけでもなく、一人一人のキャラクターがきちんと描かれている。いわゆる社会主義リアリズム作品とはまったく異なると思う。