日本農業の真実

日本農業の真実 (ちくま新書)日本農業の真実 (ちくま新書)
生源寺 眞一

筑摩書房 2011-05-11
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わが国の農業は正念場を迎えている。農業者の高齢化、減反問題、農産物貿易の自由化など、難問が山積している。こうした状況下で大切なのは、情動やイデオロギーに流されることなく、冷静かつ現実的に食と農の問題を考えることだろう。本書では、日本農業の強さと弱さの両面を直視し、国民に支えられる農業と農村のビジョンを提案する。農地制度や農協問題など、農業発展のブレーキと指摘されている論点にも言及しながら、農業経済と農業政策の第一人者が近未来の日本農業を描き出す。

こういう自分の職に関連する書籍は、あえてあまり触れてこなかったが、これは新書で読みやすく、また生源寺先生の新著なので購入した。

担い手確保の問題、生産調整の問題を特出しして触れている。特に第4章の生産調整についての部分が白眉で、本来有意義な方面に向けられるべき自治体、現場の労力が、生産調整の維持に割かれてしまっているというのはまったく同感だしその通り。米の生産調整はもう40年以上続いているが、それ自体がもう職業の一種となっていて、各自治体でも農協でも、生産調整のための人員を割く必要があるし、またそのための自治体用システムをつくる業者もある。いろいろ考えさせられる本でした。