美しいアナベル・リイ

美しいアナベル・リイ (新潮文庫)美しいアナベル・リイ (新潮文庫)
大江 健三郎

新潮社 2010-10
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かつてチャイルド・ポルノ疑惑を招いて消えた映画企画があった。それから30年、小説家の私は、その仲間と美しき国際派女優に再会。そして、ポオの詩篇に息づく永遠の少女アナベル・リイへの憧れを、再度の映画制作に託そうと決意するのだが。破天荒な目論見へ突き進む「おかしな老人」たちを描く、不敵なる大江版「ロリータ」。

2007年の、「臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ」の改題版。大江自身を思わせる「私」が、30年前の挫折した映画企画を思い出しつつ、老いながらも夢よもう一度と一念発起する話。序盤から書かれている伏線や選び抜かれた語彙など、久しぶりに「小説」を読んだと思った。この中身を460円で買える日本はすごいと思う。

ただ、裏表紙にも帯にも「大江版「ロリータ」」とあるのは不可解だし違和感。