旅人―湯川秀樹自伝 湯川 秀樹 角川書店 1960-01 売り上げランキング : 17949 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
博士の業績同様、その人を知る者は少ないであろう。自ら綴る生い立ちの記。【孤独な我執の強い人間】と自身を語り、その心に去来する人生の空しさを淡々と説く行文は、深い瞑想的静謐を湛える。
角川文庫からちょうど2年前頃に復刊されたが、結婚して初めての正月に向こうの実家に行った際、仙台の書店で買った本。なので思い入れがある本なのだが、早まってPDFにしてしまった。今回読み直し、買い直そうかと思った。
湯川秀樹が前半生(といっても27歳までなので、今の自分と1年しか違わないと思うとぞっとする)を回想した自伝。文章がきれいで、どこかノスタルジーを感じさせる。軍縮時代の、まだ余裕のある時代が感じられてよい。もし学生時代に読んでいたら、著者の物理学への思いと自分を比べ、穴に入りたくなったかもしれない。