カティンの森

岩波ホールで先週見てきた。ワイダ監督の父もカティンで殺害されている。

大戦中にソ連の捕虜となったポーランド軍将校達が、ソ連国内でNKVDに銃殺された事件が題材。夫がソ連に連行された妻達の様子を中心に据えている。大戦中は、共産主義の蛮行としてナチのプロパガンダに使われ、戦後は一転してナチスの狂信性を示すものとしてソ連プロパガンダに使われた。戦後のポーランドでは、内心ソ連の仕業と信じていても、そうとは言えない状態だったのだろう。

映画の最後には、目隠しされ、手錠をかけられ、銃殺されるポーランド軍将校の姿がただひたすら流される。殺害され、無機質に穴に落とされ、ブルドーザーで埋められる映像は空恐ろしい。これがポーランド国内で上映されるときは、また異なって見えるのであろうかと考えた。ずっと他国の影響下におかれていた民族の感情を推し量るのは、なかなか日本人には難しい。