ある晴れた日に

ある晴れた日にある晴れた日に
加藤 周一

岩波書店 2009-10-16
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戦争末期から終戦までの、ある医学生を中心とした小説。医学生は著者が投影されたもの。『羊の歌』を彷彿とさせる。

主人公である医学生は戦争にたいして極めて第三者としての態度をとり続けるのだが、結局それは徴兵されなかったからだけではないか。召集の有無という国家システムの偶然性に結局依拠しているのではないかと感じた。『神聖喜劇』の東堂太郎のように感情移入できない。

ソビエト参戦で喜ぶ人物の描写などにも釈然としないものを感じる*1

*1:同人物の兄弟2人までもが特高に殺されているという事情が後で語られるのではあるが。