精神の氷点

精神の氷点精神の氷点
大西 巨人

みすず書房 2001-01
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泥水溜りの中に歪み縮かまった投影は、復員後ふた月の水村宏紀を表象していた。そこには「地獄」を見つめてきた陰鬱な眼がある-。一人の復員兵が彷徨する「魂と虚無」の相克を描く。改造社1949年刊の長篇に字句修正加筆。

28才の大西巨人が書いた処女作。主人公の水村は、『神聖喜劇』東堂太郎のプロトタイプのような感じがする。

復員兵が昔のことを回想する内容。最後は『罪と罰』そのままな感じがするし、中盤は日本版スタヴローギン。どうもあまりこういう救いようがない系は好きになれません。