人間の壁

人間の壁人間の壁
石川 達三

岩波書店 2001-08
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読んだのは新潮文庫版ですけど。

昭和30年代初頭のS県(佐賀がモデルらしい)が舞台。ノンポリだった小学校の女性教師が、突然退職勧告を受けたことをきっかけとし、国家の教育への介入と対決しながら組合活動に徐々に目覚めていく話。

この本、古いですけど内容は今にも通じるものがあります。

  • S県は財政再建団体であるという設定で、自治庁の許可が出ないと何もできない。予算削減をしなければいけないので、教員を減らす。

夕張市総務省

  • 教育委員会を任命制とするなど教育関連法案改正が問題となっている。

教育基本法

一方で、やはり古いなと思わされる部分もあります。女性の描き方などはとくに。また、日教組が今とは比べものにならないほど組織力を持っていた時代でもあります。

イデオロギー色が強い小説ですが、面白く読める本だと思います。石川達三さすが。