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新左翼の教祖ともいえる吉本隆明の本を初めて読んだが、これはインタビュー形式の文章なのでなかなか読みやすかった。
現代の日本では、6~7割が消費に使われており税も課せられているので、政府は国民の所得に決定的に依存している。国民は現在の政府に対して不満が有れば消費を抑えればよい→税金が入らないので政府はつぶれる→つまり国民は消費による政府のリコール権、新しい革命の可能性をもっているのである
というロジックを展開しているのだが、実際問題として全国民が消費を抑えるとかあり得ないのでだめではないかと。なんでもかんでも"革命"という言葉に結びつけるあたり、自分では従来の「左翼」思想との決別を果たしたとか言っておきながら全然果たしていないと思うのだがどうか。また、憲法九条は誰が何といおうと正しいとか、核兵器の廃絶は国軍の廃絶に繋がるとか、多少意味不明な文章も並んでいる。
一方で、これからは第二次産業的な公害・従来の公害ではなくて、第三次産業的公害・精神面での公害が広がるということも書いていて、これは当たっているのではないかと思う。
「最後の親鸞」も読んでみたい。