日本封印その2

「日本封印」は上下巻になっていて、昨日上巻を読んだのだが今日下巻を読み終えた。

やっぱり微妙だな。書いてある一つ一つの内容は面白いんだけど。警察が行う選挙情勢の予想とか。警察は全国全ての市町村に張り巡らせたネットワーク・地方住民のデータを使用し、選挙予想をするとか。今も本当にやっているのかどうか知らないけど、戦前の内務省は本当にやっていたらしい。

また、下巻の111ページに

真珠湾を後世に語り継ぐため、ゼロ戦の攻撃で半ば水中に没した無惨な姿を当時のままにとどめている戦艦「アリゾナ」の巨大なモニュメント…

という表現があるのだが、これはちょっとないと思う。ゼロ戦アリゾナを沈めたわけじゃないでしょ。艦爆や艦攻だろ。尤も「ゼロ戦」という単語に日本をかけてあるのかもしれないが。

あと、最期のオチが微妙。

ちょっと前に、また「官僚たちの夏」を読み直したのだが、今日の朝日の2つめの社説は面白かった。朝日の社説はしばらく経つと消えてしまうので、全文転載。

経産省疑惑 「官僚たちの冬」なのか

 またしても官の不祥事である。経済産業省の官房企画室で裏金が長年にわたって引き継がれ、前室長がそれを使ってカネボウ株を取引していた。

 杉山秀二事務次官は前室長を諭旨免職にしたが、2週間もの間、その事実を中川大臣に報告しなかった。

 同省は次官らの処分と大臣の報酬返上を決めたほか、全職員の株取引をさしあたり1年間自粛すると発表した。外部の弁護士3人で調査委員会を立ち上げ、真相の糾明に乗り出すという。

 こうした組織は、えてして事件の幕引きに使われる。3人の委員には、国民の代表としてウミを出し切る決意を求めたい。

 まず、裏金の全容を明らかにすることだ。同省の外郭団体「産業研究所」への調査・研究委託費で余った分を口座にプールしていたものだとされる。それが17年にわたって引き継がれ、前室長のときは2900万円になっていた。

 裏金づくりは組織的なものだったのか。何に使われたのか。代々の室長がなぜ問題を放置したのか。これらの解明は当然だが、天下り先の外郭部門や業界団体をたくさん持つ同省のことだ。ほかにも不明朗なカネがないか、構造的な暗部という視点で調べてほしい。

 もう一つ突き止めるべきは、カネボウ株の売買がインサイダー取引にあたらないかという点だ。

 前室長の株取引は、証券取引等監視委員会カネボウの前経営陣による粉飾決算を調べるなかで明らかになり、経産省に報告されたという。杉山次官は「インサイダー取引にはあたらないと聞いている」と疑惑を否定している。

 だが、株が取引されたのは、カネボウ産業再生機構の支援を受けることが固まり、株価も堅調だった04年4月だ。再建には経産省が深くかかわっていた。

 直接、担当する案件ではなかったかもしれないが、官房企画室は中枢部門だ。外には出ない特別の情報を手にしたのではないかとの疑いは消えない。

 同省では、別の事件でインサイダー取引に手を染めた現職のキャリア係長が起訴されたばかりだ。調査委は独自の立場で洗い直し、違法性が疑われるなら捜査当局への告発もためらうべきではない。

 1年間の株取引自粛は、あくまで暫定的な措置だという。調査の結果を踏まえて、あらためて厳しい規則をつくり、襟を正してもらいたい。

 経産省(旧通商産業省)は、かつては花形官庁だった。「ニッポン株式会社」の頭脳として高度成長を演出し、貿易摩擦の矢面にも立ってきた。城山三郎さんの小説「官僚たちの夏」は、仕事に燃えていたころの官僚像を描いている。

 「行政指導」を力の源泉に、産業界の箸(はし)の上げ下ろしにまで口を出す時代が終わったのは結構だが、それとともに役所の理念や存在意義も薄らいだ。出口の見えない冬の時代に官僚はコソコソと利殖をはかる。何とも情けない話だ。

”仕事に燃えていたころ”って、今は誰も燃えてないみたいな感じで、この朝日チックな決めつけ方が面白い。