横書き登場 日本語表記の近代

10年ほど前に読んでいるはずなのだが中身をほとんど忘れていてショックだった。なんとなくイメージがある、戦前、戦中は右横がき、戦後は左横がき、というのは必ずしも正しくないことを改めて認識した。戦前でも商用を中心に左横がきもあったそうだ。しかし、戦前の右横書きでも、アラビア数字だけは通常の左横がきになっているのが面白い。

民衆暴力 一揆・暴動・虐殺の日本近代

題名がおどろおどろしいが、秩父事件や日比谷焼打事件、関東大震災の時の朝鮮人虐殺をテーマに、当時の日本人がなぜそのような行動に出たのか分析したもの。朝鮮人虐殺は、都内では警察や軍隊が積極的に関与していたことがわかる。

抵抗都市

抵抗都市

抵抗都市

日露戦争で負けた日本が、ロシアの占領下にあるという設定で、その設定だけでかなり興味深い。占領下の日本警察が、殺人事件の捜査をするうちに、テロの計画に巻き込まれていく。

六機の護衛戦闘機

山本五十六が撃墜された際に護衛していた6人のパイロットのその後を扱ったノンフィクション。10年くらい前に読んだ時はあまり強い印象を持たなかったが、改めて読んで、山本撃墜が彼らに及ぼした影響の大きさに暗然とした。護衛に失敗したとみなされ、批判されることはないものの、ラバウルからの転勤は許されず、戦死するか負傷するまで出撃し続ける。結局4人がラバウルで戦死し、1人はエースパイロットとして343空まで転戦するものの終戦前に戦死、1人だけ右手を失って入院し、終戦を迎える。この本が出るまで、6人とも戦死したという説が有力だったのだとか。

現代日本を読む ノンフィクションの名作・問題作

大宅壮一ノンフィクション賞受賞作をはじめとして、戦後のノンフィクションを紹介している。STAP細胞騒動も紹介されていて当時を思い出したが、上司の自殺に触れていない点を不自然に感じた。また、東日本大震災をモチーフにして、盗作騒動になった作品も紹介されていたが、改めて読んでみたいと思わされた。