三国志演義 1 (角川ソフィア文庫)

劉備関羽張飛の三豪傑が乱世を正すべく義兄弟の契りを結び立ち上がる--。NHK人形劇で人気を博した 立間祥介訳で蘇る壮大なロマン! 2019年夏、東京国立博物館で大規模な三国志展も開催。

何十年ぶりかに三国志演義を読んだ。子供のころは岩波少年文庫版、その後岩波文庫版を読んだが、この立間訳もぐいぐい読ませる。

都市横浜の半世紀-震災復興から高度成長まで

貿易都市として発展した横浜は、震災後は重化学工業都市、戦後は住宅都市の性格が加わり、首都に次ぐ巨大都市となった。本書は、震災からの復興以降、「大横浜」実現をめざして進められた都市づくりを軸に、高度成長期までの横浜の現代史を概観する。

関東大震災から戦後の高度成長期までの横浜の歴史を追っている。貿易都市から工業都市、占領を経て住宅都市になる様子が書かれている。戦前の官選神奈川県知事が、戦後に横浜市長をやっていたことに驚いた。

日本の歴史をよみなおす

日本が農業中心社会だったというイメージはなぜ作られたのか。商工業者や芸能民はどうして賤視されるようになっていったのか。現代社会の祖型を形づくった、文明史的大転換期・中世。そこに新しい光をあて農村を中心とした均質な日本社会像に疑義を呈してきた著者が、貨幣経済、階級と差別、権力と信仰、女性の地位、多様な民族社会にたいする文字・資料の有りようなど、日本中世の真実とその多彩な横顔をいきいきと平明に語る。

百姓というと反射的に農民を想起するが、それが実は思い込みだということをこれでもかというくらい語っている。

伊豆の踊子

旧制高校生である主人公が孤独に悩み、伊豆へのひとり旅に出かける。途中、旅芸人の一団と出会い、そのなかの踊子に、心をひかれてゆく。清純無垢な踊子への想いをつのらせ、孤児意識の強い主人公の心がほぐれるさまは、清冽さが漂う美しい青春の一瞬……。ほかに『禽獣』など3編を収録。巻末の三島由紀夫による「解説」は、川端文学の主題と本質についてするどく論じている。

伊豆の踊子は、昔読んだはずだがあらすじを忘れていた。3月に伊豆にいったのでそれを機に再読。

中国の行動原理 国内潮流が決める国際関係

世界各国と軋轢を起こす中国。その特異な言動は、中華思想、米国に代わる世界覇権への野心などでは説明できない。なぜ21世紀に入り、中国は海洋問題で強硬姿勢に出たのか、経済構想「一帯一路」を始めたのか――。本書は、毛沢東・鄧小平から習近平までの指導者の動向、民族特有の家族観、社会の秩序意識、政経分離のキメラ体制など国内の潮流から、中国共産党を中心とした対外行動のルールを明らかにする。

共産党が率いる市場経済国家という体制をキメラ体制と評している。中国は、ボスと部下が1対1で結びついているのに対し、日本は緩やかにつながっているという比較が興味深かった。

堤康次郎 西武グループと20世紀日本の開発事業

早稲田大学在学中に起業、卒業するや別荘地や住宅地を精力的に開発した堤康次郎。その軌跡は、公務員・会社員などの新中間層(サラリーマン)の誕生や都市人口の増大と重なる。軽井沢や箱根では別荘地や自動車道を、東京では目白文化村や大泉・国立などの学園都市を開発した。さらに私鉄の経営権を握り、百貨店や化学工業も含めた西武コンツェルンを一代で築くが、事業の本分はまぎれもなく「土地」にあった。厖大な資料から生涯を読み解く。

軽井沢、箱根だけではなく、様々な地域の開発に、それぞれの会社を作って取り組んだ様子がよくわかる。父と息子たちの人間関係がもう少し書いてあるのかと思ったが、基本的には各会社の紹介が多い。最後の章で、堤義明が後を継いだとよく言われるが、本質的に先代の仕事の仕方を継いでいたのは堤清二だと指摘していて興味深かった。

こんな感じで書いてます

いまだに優雅には書けません――。25歳で初めて原稿料をもらって以来40余年、140作以上もの作品を生み出してきた著者による「書く暮らし」。新卒で入った広告代理店を半年で辞め、転職すること4回。拾ってもらった本の雑誌社経理事務として働いていたときに書評を依頼され、初めて原稿料をもらったのが25歳。以来、40年にわたり書き続けてきた著者が綴る、書きはじめの苦しみ、的外れな誹謗中傷のやり過ごし方、前期高齢者になってからの変化、そしてお金より大切なこと。ひとつのことを長く続ける心構えと自立に徹した生き方に勇気をもらえる名エッセイ。

本の雑誌の初期の社員だったとか。自分が思っていた内容ではなかった。