ドキュメント 去るも地獄残るも地獄―三池炭鉱労働者の二十年

ドキュメント 去るも地獄残るも地獄―三池炭鉱労働者の二十年 (ちくま文庫)ドキュメント 去るも地獄残るも地獄―三池炭鉱労働者の二十年 (ちくま文庫)
鎌田 慧

筑摩書房 1986-09
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「総資本対総労働の闘い」であった三池の大争議から20年。さらに、死者458名、CO中毒患者839名を出した三川鉱の炭塵大爆発から10年。―ヤマを去った人たち、残った人たち。患者と家族・遺族がたどった永く苦しい受難のドラマ。ルポライターの透徹した眼が捉えた労働者たちの物語。

三池炭坑の労働争議が1960年。その後の労働者の様子を書いている。若い頃の鎌田慧のドキュメントは読ませるが、これも例に漏れず良い。

三池炭坑ではもともと囚人労働で成り立っていたが、次第にそれだけでは立ちゆかなくなり、奄美与論島から労働者を連れてきたとか。口之津大牟田では、与論島民はヨーロン長屋なるところに住み、賃金面でも差別されていたとか。そういった与論島出身者やその2世が、三池を去って大阪や東京で現業公務員などになり働いている様子も丁寧に描かれている。

また、三池炭坑で労組の中心となって争議に携わり解雇された人が、回り回って中小企業で労務担当役員などをしている様子も描かれている。