自動車絶望工場―ある季節工の手記

自動車絶望工場―ある季節工の手記自動車絶望工場―ある季節工の手記
鎌田 慧

講談社 1983-09
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72年に著者自身がトヨタ本社工場で季節工として働いたときの体験を手記にしたもの。高度成長期のモダン・タイムス。

ベルトコンベア作業の非人間性に著者は焦点をあてているが、僕はそこよりもトヨタ本社の増産計画が現場の工場・作業員たちにどのように受け止められていたのかや、ある意味がないような労働組合自衛隊トヨタの蜜月関係、上司からの命令に反抗しながらも始業ベルが鳴ってしまうと黙々と働く作業員というところに興味を持った。増産計画というのは結局のところベルトコンベアのスピードを上げることに他ならないのだが、嫌だ嫌だと言いつつ結局受け入れてしまう作業員たちというところは、非常に日本らしいと思う。