国家〈上〉

国家〈上〉国家〈上〉
プラトン 藤沢 令夫

岩波書店 1979-01
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元祖共産主義者の主張本ということで読んでみた。まだ上巻しか読んでいません。

読んで初めて知った事が多かった。プラトンは別に共産主義者ではないと感じた。私有財産の廃止や女性共有などのイメージが先行している感がある。実際に主張しているのは、国家を支配する役割にある人は私有財産を持ってはならないということである。つまり支配する立場にあるものは決して私利私欲に走ってはならないということである。ここまではむしろ誰でも共感するのではないか。その後、女性の共有という概念が出てくるが、女性の共有でもあるし、逆に男性の共有をも主張していると感じられた。

また、より優れた子ども達は支配する立場につくように育て、劣った子ども達はそれ相応の仕事をするように育てるべきであるという主張があるが、徹底的な能力主義ともいえるし旧社会主義国家のように国家がそれぞれに仕事を割り当てるというようにも読める。

なんにせよ、要するに心がけが良く利私欲がない少数のエリートが国家を統治するべきであるという論。上巻を読んだ時点での感想は、コミュニズムというよりもむしろファシズムに近いということ。下巻も今後読みたいと思う。