「兵士に聞け」 杉山隆男 新潮文庫

ほんとは物理の追加レポートをやらなきゃいけないんだけど、現実逃避のために読んでしまった。よみがえるで210円。

内容は、自衛隊という組織に隠されたひとりひとりの隊員の生活を通し、自衛隊の実情、真実にせまるというもの。長かったけど、これは名著だ。今まで、自衛隊という言葉でひとくくりにされてきた隊員ひとりひとりが、生き生きと描写されている。自衛隊反対論者の人も、是非一読すべきだと思う。

大きく、陸自のレンジャー部隊、海自の護衛艦、空自のレーダーサイト、PKOと4つに分かれているが、特に、奥尻島のレーダーサイトに勤める隊員の、大地震の際の救助活動とPKOカンボジアに行った隊員の生活は読み応えがあった。カンボジアのなんか、涙腺弱い人だと泣くかも。

これを読むと、自衛隊という組織が日本の社会の中で置かれている立場がだんだんと分かってくる。某ノーベル賞作家に「同世代の恥辱」と呼ばれたり、卒業式で「日陰者」と呼ばれる防大生や、地域の人に溶け込もうともがいても、結局は一線を引かれて見られている奥尻島の隊員。法規制の中で、襲撃の訓練なのに空砲すら撃てない教育課程。うまくいえないけど、歪んでると思う。かといって、防衛庁を省に格上げしたり、国軍化したらいいとも思わないけど。

この続編に「兵士を見よ」というのもあるらしいので、どこかで探して読もうと思う。

でも、最近読んでる本、すっごい偏ってる気がする。