火山のふもとで(新潮文庫)

ぼくが入社した村井設計事務所は、ひと夏の間、北浅間にある「夏の家」へ移動する。そこでは稀有な感性をもつ先生のもと、国立現代図書館の設計コンペに向けての作業が行われていた。もの静かだけれど情熱的な先生の下で働く喜びと、胸に秘めた恋。そして大詰めに迫った中で訪れる劇的な結末。ただ夏が過ぎても物語は終わらなかった。かけがえのない記憶と生命の瞬きを綴る鮮烈なデビュー作。

本の雑誌の文庫王国でランキングに入っており、気になったので読んだ。著者の作品は初めて読んだが、落ち着いた美しい文章でとても良かった。1982年の北軽井沢での夏が舞台になっていて、主人公の新卒社員の様子が描かれる。出てくる人はみんな洋楽が好きで外車に乗っている。まったく土着的な感じがせず嫌味ではあるが、軽井沢小説として成功していると思う。
今年読んだ中でも一二を争うよさだった。他の作品も読んでみたい。