1892年にアメリカで発明されたトラクターは、直接土を耕す苦役から人類を解放し、穀物の大量生産を可能にした。文明のシンボルともなったトラクターは、アメリカでは量産によって、ソ連・ナチ・ドイツ、中国では国策によって広まり、世界中に普及する。だが、化学肥料の使用、土地の圧縮、多額のローンなど新たな問題を生み出す。本書は、一つの農業用の“機械”が、人類に何をもたらしたのか、日本での特異な発展にも触れながら、農民、国家、社会を通して描く。
トラクターの出現前と後では農業生産が劇的に変わり、化学肥料前提になった。アメリカ、ソ連、日本などの普及の様子をたどっている。戦前の時点でトラクターが数万台単位で普及していたアメリカと、まだほとんどなかった日本。戦争しても負けるはずだと思う。
日本は歩行型トラクターが発達・普及したのも特徴らしい。耕土が狭いから当然といえば当然か。1点だけ、韓国では歩行型トラクターを運搬に使用するのが中国の農村のようだという記述があったが、日本でもそのような風景は普通に見られたはず。
