「慰安婦」問題とは何だったのか: メディア・NGO・政府の功罪 (中公新書 1900)

一九九〇年代以降「慰安婦」問題は、「歴史認識」の最大の争点となっている。政府は軍の関与を認め謝罪。市民と政府により被害者への償いを行う「アジア女性基金」がつくられた。だが、国家関与を否定する右派、国家賠償を要求する左派、メディアによる問題の政治化で償いは難航した。本書は、この問題に深く関わった当事者による「失敗」と「達成」の記録であり、その過程から考える新たな歴史構築の試みである。

2007年に出版された直後に読んで衝撃を受け、またとても印象深かった。ちょうど就職前のタイミングということもあったかもしれない。その時は、限られた条件、前提の中で、最善を尽くすためにどうすべきかを追求する著者の姿勢に感銘を受けた。また、実現可能性のない理想を押し付けるだけでは、被害者のためにはならないということも印象的だった。今回改めて読んで、当時のほどには印象を強く受けなかったのは、その後、20年弱仕事をする中で色々と経験したこともあると思う。ただ、著者の真摯な姿勢が印象的なのは変わらない。